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産経新聞

2007年01月12日
カエルの“殺し屋”上陸 

関東地方で「ツボカビ」感染例

  皮膚に寄生し増殖するとカエルやサンショウウオなどの両生類を90%以上の高率で殺す真菌(カビ)「ツボカビ」に感染した例が昨年、関東地方の飼育カエルで国内で初めて確認されていたことが11日、分かった。
 ツボカビはオーストラリアや中米などでのカエル激減の主因とされ、世界自然保護基金(WWF)ジャパンや日本野生動物医学会などは13日に「緊急事態宣言」を出す予定。
 ツボカビは人間を含む哺乳(ほにゆう)類や鳥類、爬虫(はちゅう)類には感染せず危険はない。しかし、両生類への感染力は強く、ペット用などとして国際取引や移動が増えていることが感染拡大につながっているという。研究者らは「感染が野外に広がると根絶は不可能。カエルの大量死が引き金となって、他の動物の絶滅につながりかねない」と指摘している。
 麻布大(神奈川県)の宇根有美・助教授(獣医学)によると、感染が確認されたのは、国内繁殖とみられる南米原産のカエル複数種。別の外国産カエルを購入して同じ建物で飼い始めたのを契機に発症し、死ぬ例が相次いだ。
 水中を泳ぐツボカビの胞子が皮膚に100個程度感染すると、両生類は皮膚呼吸などが阻害され死んでしまう。しかし、野外に出さなければ消毒や治療ができるため、感染してもカエルを飼育し続けることは可能だ。
 宇根助教授は「元気がない、皮膚に赤い斑点がある、体表の粘液がおかしい、などの点に注意してほしい」と話し、麻布大のホームページに解説を掲載している。
                  ◇
 ■種の存続に打撃
 カエルをはじめとする両生類は約20年前から世界中で減少中だ。その原因としては、環境破壊や化学物質による汚染、感染症、紫外線の増加などが挙げられている。
 日本でもカエルの減少傾向は目立っていた。松井正文・京大教授によると、主な理由は、山野の開発や水田の減少であるという。
 専門家はツボカビの国内侵入を警戒していたが、輸入種とみられる外国産カエルでついに発症例が出てしまった。衰退傾向にある自然界のカエルたちの間にツボカビ感染が拡大すると、種の存続にかかわる致命的な打撃となりかねない。
 感染したカエルの死体を野外に捨ててはならない。飼育していた水からも感染するので、ペットとして飼育している人は、水の処理にも十分な注意が必要だ。
 ツボカビは、カエルの皮膚のケラチンというタンパク質を食べて増えるので、感染した個体は皮膚呼吸が妨げられて死に至る。飼育している人は、カエルに異常が見られたらすぐに専門家に相談することが必要だ。
 温暖な地方ではこれからヒキガエルなどの繁殖期を迎えるが、この時期には自然死や、車にひかれて死ぬ例がかなりある。それをツボカビ症と間違えて無用の混乱を起こすことは避けたい。環境省は事態に迅速に対応し、正確な情報普及に努めることが必要だ。(論説委員・長辻象平)
 
朝日新聞

2007年01月12日

両生類絶滅させるカエル・ツボカビ症、

国内で初確認

 
世界各地でカエルなどの両生類に壊滅的な打撃を与えてきたカエル・ツボカビ症が、日本でも見つかった。アジアでは初の確認だ。人間などには感染しないが、野外に広がると根絶できず、生態系に深刻な影響を及ぼす恐れがある。日本野生動物医学会、日本爬虫(はちゅう)両棲(りょうせい)類学会、世界自然保護基金(WWF)ジャパンなどは13日に、検疫の強化や販売・流通の監視などを訴える緊急事態宣言を共同で出す予定だ。

 ツボカビ症が見つかったのは、東京都内で個人がペットとして飼っていた中南米産のカエル。昨年11〜12月に、11種35匹中14匹が次々と死んだ。麻布大学での検査で、12月25日にツボカビ症と確認された。10月末に購入したカエルから感染した可能性が高い。今年に入り、関東地方のペット小売店でも中南米産のカエルが陽性と分かった。

 ツボカビ症は、90年代に豪州でカエルの激減を招いた病気として、98年に初めて報告された。以後、米国や中南米、アフリカ、欧州などで相次いで流行が確認された。食物連鎖を通じて、確実に生態系に打撃を与えていると考えられている。

 中米パナマでは両生類48種が感染し、個体数が9割減った。95年に侵入し年平均28キロの速さで西から東に広がったことが後の調査で分かった。2カ月で野生のカエルが絶滅した地域もあり、二十数種のカエルを動物園などで保護する「両生類箱船計画」が始まった。

 ツボカビは水の中で数週間生き続け、野外へ広がってしまうと根絶は不可能だ。渓流が多い日本では繁殖しやすいとも指摘される。また、ペット飼育で感染が広がる可能性も高く、関係者は危機感を強めている。

 関係学会など16団体の緊急事態宣言は「死んだカエルを飼育していた水を、野外に排水することは禁物」と訴え、輸入・販売業者にも「カエルが感染していないことを確認してほしい」と呼び掛ける。

 宇根有美・麻布大助教授(獣医学)は「飼っているカエルに少しでも異状を感じたら、獣医師に相談してほしい。消毒法や治療法があり、人にはうつらない。飼育を放棄して、屋外に放すことだけはしないで」と言う。


図

カエル・ツボカビ症の特徴

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